ー地盤補強工事への理解を深めるー
(パワーポイント動画 16分27秒+解説)
▼パワーポイント動画(YouTube) 16分27秒
追加解説
ER地盤塾 第七回「地盤補強とはそもそも何か」
-一般工法では対処が難しい地盤で発揮する工法-
▶万能な補強工法はない
第七回の動画で「地盤補強工法は向かない地形と土がある」「向かない地形と土は工法ごとに違う」という話をしました。これは「どんな地盤でも施工でき、費用面で現実的な万能な補強工法はない」ということです。
しかし、向かない地形と土を様々な工法でカバーし合えばよい、とも言えます。
▶基本的には、どの地盤も一般工法のどれかで対応できる。が・・・
基本的にはどの地盤も一般工法のどれか(表層改良、柱状改良、既製杭、小口径鋼管杭)で対処できますが、施工性、時間、費用面で現実的でない場面もあります。そういった場合は、証明・認定工法が効果を発揮します。
柱状改良、小口径鋼管杭の詳細は第八回の動画で説明しますので、今回は一般工法では対処が難しい場合に検討・比較するとよい証明・認定工法の一部について記載していきます。
また、採用にあたっての注意点として今回は「向かない・注意が必要な地形と土」に絞って記載しますが、それ以外にも工法ごとに試験数値や最大長さ(補強深度)の規定があることはご了承ください。
▶改良が必要な長さ(軟弱層)が8m以上ある地盤に向く工法
◎複合地盤(パイルドラフト)工法(RES-P工法など)
【向かない、注意が必要な地形と土】
・腐植土、液状化発生の可能性がある地盤(資料や別途調査で施工可否を判断)
・極端に数値が弱い地盤(地盤の力も見込むため。半自動SWS試験機のデータで設計する場合は近隣データなどで整合性をチェックすることが望まれる)
◎置換工法(シート工法やEPS工法など)
【向かない、注意が必要な地形と土】
・腐植土(補強体ごと沈下する可能性がある。使うには過圧密であることが絶対)
・盛土地盤(補強体ごと沈下する可能性がある。使うには過圧密であることが絶対)
・バランスが悪い地盤(切り盛り地盤、軟弱層の厚さが違う地盤。特にシートは危険)
・擁壁が建物配置に近い(特にEPSは危険。擁壁を支える重量を保てなくなる)
・極端に数値が弱い地盤(シートは試験数値の適用下限値あり。半自動SWS試験機のデータで設計する場合は近隣データなどで整合性をチェックすることが望まれる)
▶腐植土、有機質土が分布している地盤に向く工法
◎場所打ち杭(ピュアパイル工法、ウルトラピラー工法など)
【向かない、注意が必要な地形と土】
・擁壁が建物配置に近い(セメントミルクが擁壁孔から流れる可能性がある)
◎ハイブリッド工法(タイガーパイル工法など)
【向かない、注意が必要な地形と土】
とくになし
▶擁壁などの工作物が建物配置に近い地盤に向く工法
◎RES-P工法
◎補強体の直径が400mm以下の工法
▶狭小地でも施工可能な工法
◎RES-P工法
◎置換工法(シート工法やEPS工法など)
▶だいじなこと
今回は、一般工法では対処が難しい場合に比較検討するとよい証明・認定工法を紹介しました。このほかにも様々な工法がありますが、大事なことは「事故を起こさない工法選定・設計内容・施工」です。それを自分で検証するためには専門知識が必要です。地盤の専門であるはずの地盤会社や地盤ほしょう会社は、残念ながらすべてが信用できるとは限りません。
・地形と土にあわせて工法を提案できるよう、様々な工法を施工できる会社
・施工できる工法は少なくても、向かない地形と土の場合は断るモラルある会社
このどちらかが信頼できる会社ですが、どちらにしても
「事故率が低い(事故を起こしていない)会社」であることが大前提です。
ぜひ、信頼できる地盤会社、地盤保険・補償会社を見極め、常日頃から疑問点や不安点を相談できる環境を作って欲しいと思います。