第8回ER地盤塾 地盤補強工法の主な種類と特徴

ー 一般工法の特徴とおもな注意点 ー

(パワーポイント動画 18分50秒+解説)

 


▼パワーポイント動画(YouTube) 18分50

追加解説

ER地盤塾 第八回「地盤補強工法の主な種類と特徴

 -柱状地盤改良の材料について(一般工法の場合)-

▶材料について調べたことはありますか?

 セメント系固化材荷姿
 セメント系固化材荷姿

 柱状地盤改良はセメントを使う、ということはイメージできると思います。

 ですが、土に合わせて複数種類がある、ということはご存知でしょうか。

 柱状地盤改良は、土の状態とセメントの種類を合わせることが重要です。今回は、地盤業界で高い水準の技術基準を設けている「住宅地盤の調査・施工に関わる技術基準書」(NPO住宅地盤品質協会)を参考に紹介します。

▶セメント系固化材は複数種類がある

 柱状地盤改良は、建物配置内の土とセメント系固化材(水と合わせてスラリーを形成)を撹拌混合して柱状の改良体を作る工法です。

 しっかり家を支えるための改良体を作るためには、その土地の土の状態に合わせてスラリーを形成し、十分に土と攪拌混合しなければいけません。セメントが土に合っていないと、固化不良などで設計強度が発現されず、家を支えることが出来なくなる可能性があります。

 そのため、土の状態に合わせて下記のような種類が用意されています。

① 一般軟弱土用セメント系固化材

② 高有機質土用セメント系固化材

③ 六価クロム低減型セメント系固化材(特殊土用セメント系固化材)

④ 早強・高強度用セメント系固化材

▶各種セメントの使い分け

 施工前の土採取、土質確認例
 施工前の土採取、土質確認例

① は標準的な土(粘性土、緩い砂質土など)に対応できます。

② は腐植土用です。ただし、腐植土は含水比をとっても200%~1000%と言われるくらい性質に幅があります。施工前に土を採取して室内で配合試験を行い、セメントの添加量をどれくらい増やす必要があるか確認しなければなりません。室内配合試験で設計強度が得られなければ、工法を変える必要も出てきます。

③ は六価クロムが溶出しやすい土に使用します。近年、セメント系地盤改良では六価クロムの溶出が懸念されていますが、溶出しやすい土は関東ロームなどの一部の特殊土とされています。土と材料をよく分かっている地盤会社さんは対応セメントを使用しますし、特殊土でなくても溶出が心配な時は相談してみましょう。

④ は設計強度を確実に確保するためや、養生期間が短い場合に使用します。どうしても基礎着工が迫っている場合は、地盤会社さんに相談してみましょう。

▶六価クロムの土壌基準値は飲み水に着目したもの

 セメント系地盤改良で六価クロムがクローズアップされているのは、食器のメッキや顔料などへの使用を規制されているから(人体への悪影響)、という側面があると思います。

 セメントは天然資源を原料として製造されるため、天然鉱物としてのクロムが微量で含まれています。

 引き合いに出されることが多い国交省の通達文(平成13年4月20日通達)では、六価クロムの基準値(0.05mg/リットル以下)は「土壌からの浸透水が地下水を汚染しないという観点で設定されている」となっています。

 つまり、人体への影響(人体への摂取経路)を飲み水に着目し、水質を保全する目的で定められている、ということです。

ですから、水源となる河川が近い、地下水を利用する、などの場合は他の工法を選んだ方が良い場合もあります。

 しかし、水質保全の必要がない、土地の土が六価クロムが溶出しやすい特殊土ではない、ということであれば通常のセメント系固化材で良いのです。

 それでも六価クロムが気になる場合は、六価クロム低減型の固化材をリクエストしてみましょう。