第12回ER地盤塾 住宅地盤のまとめ

ー 沈下事故を防ぐ簡単チェックポイント ー

(パワーポイント動画 14分34+解説)

おかげさまで最終回😊


▼パワーポイント動画(YouTube) 14分34

追加解説

ER地盤塾 第最終回「住宅地盤まとめ

 -地盤判定ができるには-

▶地盤判定のやり方を教えて欲しい

 住宅事業者さんからリクエストされることがありますが、正直難しいです。

 SWS試験に限らず地盤判定は土地の地形状況を含めて検討しないと事故に繋がるため、地形状況を判断できる調査技術と判定知識、経験(数)が必要です。

 ですから、ER地盤塾では「地盤判定のやり方」ではなく「地盤の考え方」を発信し、調査報告書や施工検討書が分かるようになることを目指してきました。

 今回は、「判定の難しさ」に触れて欲しいと思います。

▶判定書本文の「ただし書き」、読んでいますか?

 地盤判定書が提出されたとき、気になるのは「地盤補強が必要なのか不要なのか」だと思います。地盤支持力が「30kN/㎡」だったり「直接基礎」という文字が見えるとほっとすると思います。

 ですが、直接基礎可能だったとしても、まれに判定書本文で「ただし書き」が書かれていることがあります。

 例えば、

 

・一部深めに掘削し再転圧をかけた上で直接基礎可能とします。

・基礎の根堀り時にガラや大きな石、ゴミなどがないことを確認してください。

・埋設物を撤去した場合、層厚30cm毎にランマー転圧をかけてください。

 

 などです。

▶「ただし書き」は気にしない、という方へ

 ただし書き、みなさんはきちんと読んでいらっしゃいますか?

 残念なことに、私自身、間接的に「読んでいないよ」という声をたまに聞きます(間接的なので直接指導できないのがもどかしい・・・)。

 

・読んでいない。だって直接基礎でしょ。

・読んでいるけど特に何もしていない。だって直接基礎でしょ。

・ただし書きがあること自体、知らなかった。だって直接基礎でしょ。

 

 という感じでしょうか。

 ですが、ただし書きの通りに対処しないと大変なことになります。

 

 ただし書きは必要だから書かれています。対処しないと不同沈下事故を起こす可能性があるし、また、地盤保険、地盤補償・保証をつけている場合、不同沈下事故が起きてもただし書きの指示通りに施工していなければ、保険金が支払われない可能性があります(保険・ほしょう会社から施工写真を求められるので、口だけで「やった」というのは通用しません)。

 なぜなら、判定文のただし書きは、

 

「条件付きの直接基礎」

 

 だからです。つまり、

 

「条件を満たさなければ、地盤補強が必要な地盤」

 

 ということです。

▶ただし書きの一例「一部深め掘削と再転圧」

 例えば、下記のような場合に「一部範囲を掘削し再転圧の上、直接基礎で支持可能」というただし書きがあります。

 

 これは、一部分で表層のみが軟弱な場合です。

 もちろん表層改良などで地盤補強することも良いですが、軟弱な範囲の面積は小さいし、深さもGL-1.25mと浅いので、ここだけのために建物面積全面で地盤補強を行うことは「もったいない」と判断される場合です。

▶なぜ「一部深め掘削と再転圧」が必要なのか

 では、なぜこのような対処が必要なのでしょうか。

それは、たとえ深さは浅いとしても「建物の両端で地盤バランスが悪い状態」だからです。このままでは、軟弱な測点の方向へ向かって不同沈下を起こしかねません。

 ですから、この軟弱さに対して何かしらの対処が必要となります。

 その対処は、下記のどちらかになります。

 

①建物配置全面で地盤補強

②軟弱な範囲を締め固める

 

▶このようなただし書きができるのは技術と知識があり経験が豊富だから

 このような条件つきでも「直接基礎可能」と判断できる地盤会社さんは、軟弱な範囲を特定する調査技術、再転圧で良しと判断できる地盤の知識と豊富な経験を持っているからです。

 そして、「必要以上の補強は不要」という判断ができる技術力が高い会社、でもあります。

 ただし、あまりにも範囲が広かったり、深さが2m以上続くようなところでこのような判定を書いてくる場合は注意が必要です。

▶不同沈下を起こしたくない、起きた時に保険金が支払われて欲しいなら

 判定本文の「ただし書き」に書かれている対処は必須です。

 「ただし書き」の対処をしていない方は、今は運よく事故が起きていないかもしれませんが、いつか事故を招くかもしれません。

 地盤会社の技術者は「家を傾かせないために必要だから記載している」ということを忘れないでください。

▶最後に

 今まで、動画とブログで様々な知識や話題を扱ってきました。

 目的は「家を傾かせないように考えて欲しいから」です。

 現在、残念なことに一部の地盤会社や地盤保証会社では事故が繰り返し起きています。

 「地盤業界のモラルが向上すればいいでしょ」という声が聞こえてきそうですが、住宅事業者さん(ひいてはお施主様)から選ばれる立場としては「選ばれる理由」に目がくらみがちです。

 選ばれる理由としては、

 

・安さ

・目新しさ

・補強不要と言ってくれる

・地盤の手配をしてくれる

・環境の良さに惹かれる

 

 など様々です。ですが、地盤検討で最も最優先されることは

 

 「家を傾かせない検討」

 

 です。

 これを忘れるために事故が起きています。

 選ぶ側のみなさんに「家を傾かせない検討をしている地盤会社」を選んでもらうことで、健全な業界になってほしいと思っています。